節刀ヶ岳〜毛無山(富士周辺)・岩と鎖を伝い、辿り着く富士の絶景

はじめに

暦も11月半ばを過ぎ、朝晩の冷え込みが冬の訪れを告げる季節となりました。 今回私が足を運んだのは、山梨県・西湖の北側に連なる御坂山地の稜線。王岳から節刀ヶ岳、そして十二ヶ岳を経て毛無山へと至る縦走コースです。

近頃は仕事に追われる日々が続いており、心身ともに少しばかりの「静寂」を求めていたのかもしれません。 「体力的には少しハードかもしれないが、あの青い湖と富士の姿を拝めれば、きっと心も洗われるはずだ」——そんな期待を抱き、夜明け前の静かな中央道を走らせました。

日付

2025年11月16日

天候

晴れ

歩行距離

17.1km

登り(累積)

2,027m

下り(累積)

2,034m

行動時間

8時間42分

山行レポート

西湖いやしの里根場 駐車場

06:51 いやしの里根場より出発

「西湖いやしの里根場」の登山者用駐車場に車を停め、山行を開始します。 ここから見上げる奥の山が、本日最初の目的地である王岳でしょうか。 早朝の冷たく澄んだ空気が、登高への意欲を静かに高めてくれます。

王岳へ続く林道

登山口までのアプローチは、しばらく林道歩きが続きます。 オフロード車でも苦戦しそうなほど荒れた箇所もあり、足元を確かめながら進みます。 周囲を囲む木々からは、熊がいつ現れてもおかしくないような、深い「里山の気配」を感じました。

王岳山頂からの富士山

08:36 王岳山頂(標高1,623m)

樹林帯を抜け、王岳の山頂へ辿り着くと、そこには圧倒的な存在感を放つ富士山の姿がありました。 これぞ御坂の山ならではの絶景です。猛烈な逆光ではありましたが、この威厳あるシルエットを見上げると、ここまでの疲れがすっと引いていくのを感じます。

鬼ヶ岳山頂の角のような岩

10:30 鬼ヶ岳山頂

鍵掛峠を越え、さらに稜線を東へと繋ぎます。鬼ヶ岳の山頂には、その名に相応しく「鬼の角」を思わせるような独特の岩が突き出していました。 このあたりから道は険しさを増し、岩場と鎖場の連続が登山者を試してきます。

節刀ヶ岳山頂の標識

11:26 節刀ヶ岳山頂(標高1,736m)

今回のルートの最高地点、節刀ヶ岳。あいにく山頂は賑わっており、また雲が富士山を覆い始めてしまったため、少し場所を移して静かに大休止を取りました。 山での一期一会も良いものですが、時には独り、風の音に耳を傾ける時間も必要です。

十二ヶ岳付近からの西湖

眼下に広がる青い宝石。西湖の静かな湖面が、西日に照らされて輝いています。 自分があんなにも高い場所を歩いているのだと、改めて実感させてくれる瞬間です。

十二ヶ岳の吊り橋

13:28 十二ヶ岳吊橋

十二ヶ岳からの下りには、手作り感溢れる吊り橋が待ち構えていました。 鎖で補強されているとはいえ、歩くたびに大きく揺れる感覚には少し肝を冷やします。 スリルを味わいつつも、一歩一歩、慎重に歩みを進めました。

連続する鎖場

ここからがこのルートの「真髄」でした。十一ヶ岳から一ヶ岳へと続く、数字が刻まれた連続するピーク。 それぞれのピークの間には執拗なまでのアップダウンと、地味ながら神経を使う鎖場が待ち構えています。 「まだあるのか」——そんな溜息が漏れそうになりますが、これもまた登山の醍醐味かもしれません。

毛無山山頂の風景

14:20 最終ピーク 毛無山(標高1,500m)

ようやく辿り着いた最後のピーク、毛無山。 山頂は開けており、これまでの険しい道のりを振り返るには最適の場所です。 名前とは裏腹に、豊かな自然に包まれた穏やかな山頂でした。

下山途中の鮮やかな紅葉

下山中、標高を下げるにつれて鮮やかな紅葉が目を楽しませてくれました。 山の上の方は既に冬の装いでしたが、麓付近にはまだ秋の残り香が強く漂っています。 トンネルを抜け、里へと戻る道のりは、どこか懐かしい風景に満ちていました。

! アクセスとアドバイス

駐車場・移動

「西湖いやしの里根場」の無料駐車場を利用。売店から少し離れた未舗装のエリアが登山者用として開放されています。下山後は「毛無山登山口」バス停から周遊バスで戻ることができ、計画の立てやすいルートです。

装備への配慮

  • 鎖場・岩場:予想以上に細かなアップダウンが続きます。岩場に慣れていない方は、時間を多めに見積もるのが賢明です。
  • サポーター:累積標高2,000mを超えるハードな山行です。膝に不安がある方はサポーターの持参を強く推奨します。

おわりに

終わってみれば、行動時間8時間を超える、なかなかに骨の折れる山行となりました。 しかし、要所で迎えてくれた富士の絶景と、御坂特有の「アスレチック」な道のりは、心地よい疲労感と共に深い充実感をもたらしてくれました。

静寂の稜線を独り歩む時間は、日常の喧騒を忘れ、自分自身を見つめ直すための何よりの薬となります。 冬が本格化する前のこの季節、皆さんも少し背伸びをして、御坂の峰々を繋いでみてはいかがでしょうか。

Route Map & Elevation

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Yamatavi

WRITER

Yamatavi

週末の山歩きをこよなく愛する登山愛好家。 自然が織りなす一瞬の風景を切り取り、その感動を言葉に載せてお届けします。

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