新穂高漫遊 南岳-槍-双六 (一日目)

新穂高を起点に南岳、槍、双六と周回。行き先をリアルタイムに決めながら歩いた自由な二日間・・・シリーズ全2回中1記事目

本日の工程
 新穂高温泉(鍋平駐車場) --> 槍平 --> 南岳キャンプ場(南岳小屋)  (2019/09/14)
青色が本記事の行程
(赤色は二日目の行程)

九月始めの三連休、台風の影響が懸念されるのにも関わらず、天気は良い予報が出ていた。それは良いのだが、ここの所の荒天もあって、かなりの混雑が予想された。
のにも関わらず、なぜこのルートを選んでしまったのかは自分でもよく分からない。臨機応変に決めるつもりではいたが、当初の予定はこうだった。
この予定は、道中悩まされる事になる。。

当初の予定:
 新穂高→槍ヶ岳山荘(キャンプ)→双六経由で新穂高下山

金曜日の夜、車を飛ばして新穂高温泉に到着。初めから市営無料駐車場は諦めていた。ここまで車が集中する登山口は他に覚えがない。かなりのキャパがあるのにも関わら図、おそらく21時とかには満車だろう。
23時頃には駐車場に到着、案の定駐車場は満車。鍋平へ向かう。しかし、この鍋平がちょっと予想外だった。

鍋平の拡張部分の混雑。そもそも0時の時点で一杯だっただろう。

鍋平はトイレがある場所だけでは無く、最近になってかなり拡張されていて、トイレがある場所以外はほぼガラガラだと踏んでいたからだ。それがほぼ満車。
見えにくい奥の方がかなり空いている区画があったので、そこに駐車。残り20台分もなかっただろう。車はまだこれから続々と来るのに。だ。
これは色々と見直さなければならないと思いながら仮眠する。

鍋平から見える笠ヶ岳が赤く染まる頃、出発する。今日の予定は大した距離ではないが、まあ一応だ。路駐の列をそれを何を考えてか見回るパトカー。
続々と出発する登山者と共に、新穂高温泉へ降りていった。

新穂高温泉からはしばらく林道

 新穂高温泉の登山案内所は男子トイレでさえも列をなしていた。それが大なのか小なのかは分からないが、閉口する様な光景を見なかった様に通過する。
 新穂高温泉からは、双六方面と、槍ヶ岳方面に分かれるが、槍ヶ岳方面は少数派だ。最初のだるい林道歩きでは人影がまばらになり、ぐっと人が減った様に感じた。ただ、穂高平の小屋の前など、休憩適所にはそれなりにたくさんの人が休んでいて、やはり混んでいるのだと思い直す。

白出沢や滝谷を越え、槍平に到着する。この道はまだ人が少ない春や秋以外はあまり来ないので知らなかったが、滝谷の川を渡る橋が架けてあった。

槍平小屋

槍平では、ここを今日の目的地としてすでにキャンプを張り始めている人がたくさんいる。キャパの1/3ぐらいはテントで埋まっていた。まだ午前9:30。山行ではなく、キャンプを楽しむ人が増えているのかなと思いながら、軽食を取る。

ここで予定を大きく変更する。実は槍平に到着する少し前、槍ヶ岳山荘のバイトを終えて下山するスタッフに話を聞いた。今日は午前11時頃にはテント場が埋まるだろうという話だ。さらに槍ヶ岳のテント場は指定制で、指定数を超えると拒否されるとの事だった。
実際は12時ごろまで大丈夫だったと翌日に聞いたが、それにしてもここから到達するには難しい時間。甘く見ていたと言うかこのルートを選んだ時点でボケていたと言うべきか。この時点で以下の様に予定を変更した。

仮の予定
 新穂高温泉(鍋平)→南岳小屋→槍→奥丸山→新穂高

奥丸山へのルートは未踏で、我ながら良いルートを思いついたと思った。とにかく今日は南岳だ。多少混雑からは離れることが出来るだろう。
 忘れてはならない水を補給する。これから行く稜線上には水場はない。購入することもできるだろうが、雨水だし、折角の軽量装備がスポイルされるが、今日の行程は短し。持てるならば持って行こうと思った。2日分の水をプラティパスに詰めて出発した。

南沢

樹林帯の急な道を登る。しばらくすると南沢という、岳沢の様な広いガレ場の沢を登っていく。まもなく右側の尾根に取り付くが、ぼーっとしていたら入り口に気づかずに少し行き過ぎてしまった。
槍平の喧騒から離れ、ほとんど人がいなかったが、後ろから二組ぐらいがやってくるのが見えた。

伸びた笹に体を擦りながら尾根を詰めていくと、徐々に眺めが良くなってくる。振り返ると笠ヶ岳が悠々と聳えていた。

新穂高方面と笠ヶ岳(右上)

前にいた数組の登山者を追い抜く。槍平までと違って皆穏やかになり、会話も柔らかく、譲り合いもスムーズに行われた。

背後にそびえる笠ヶ岳

右手には穂高岳の険峻な姿が現れる背後に控える柔らかい山容の笠ヶ岳とは対照的だ。

穂高岳方面

やがて南岳小屋に到着。テント場はその手前にあった。それなりに混んでいることが予測されたが、まだガラガラとも言える状態で安心した。まだ12時であったので当然ではあるのだけれど。
テントを張って受付を済ませ、食事を取る。続々と人が到着するが、思ったよりはずっと静かだった。

小屋のスタッフに奥丸山について伺う。千丈沢乗越から奥丸山までの稜線は刈り払いが行われておらず、相当なヤブだという。何も今行く必要はないと思い、考え直すことにした。
残された選択肢は、大キレットを通り岳沢を下って新穂高、もしくは相当長くなるが、当初の予定通り双六経由新穂高の2択となった。

大キレットを眺める展望台へ足を伸ばす。大キレットは雲に覆われていたが、穂高岳が雲の上から顔を出し、雲がないそれよりも迫力ある景色を作っていた。

午後の大半の時間はここで過ごした。撮影に来ていた二人のカメラマンと仲良くなり、カメラの話を聞きながら、自分も撮影を行ったりして楽しむことができた。

眼下に見える屏風岩
大キレットが見えたり隠れたり

目の前の穂高の景色は流れる雲によって目まぐるしく変わり、いつまで見ていても飽きないものだった。展望台にもちょくちょく人はやってくるものの、思っていたよりはずっと静かで、大混雑の槍ではなくてこちらにしてよかったなあと思う。

日が傾き、陰影が濃くなる北穂高岳。
右奥に奥穂高も頭を出している。
日が落ちるにつれ、雲が下がってきた。

徐々に冷えてきたので、テントに戻って夕食とする。カメラマンの二人は既に防寒着を装備しており、ずっとここに居るという。

南岳小屋とテント場
テント場は一杯になり、仕方なく不整地に張る人も出てきた

夕食を済ませた。賞味期限がだいぶ過ぎたフリーズドライのチキンライスは不味かった。
日が沈んでも時間を持て余していたので、再度展望地に戻った。カメラマンがまだ夜景撮影を楽しんでいるだろうと期待したが、彼らの姿はなかった。

中秋の名月の翌日のため一晩中月が闇を照らす。雲海が美しいく光っていた。

まもなく、カメラマンの二人もやってきた。ここは流石と言うべきか。一晩中撮影を楽しむ気満々である。カメラの事や、明日の行程の事を相談しながら、夜景の撮影を楽しんだ。

雲海に浮かぶ穂高連峰

しばらく楽しんだところで、撮影に勤しむ彼らに別れを告げ、テントに戻る。冷たいそよ風が吹き、夏用のテントや寝袋では寒そうだと思った。

展望台で撮影を楽しむカメラマン

明日のルートは、一番安易な道ではあるが、ヘルメット着用義務が気になる上に混雑が予想される大キレットコースは避けることにした。
少し、距離は長くて大変だが、双六経由で新穂高に向かうことに決めた。月曜日の荒天予報は回復し、最悪は双六で泊まっても良さそうだ。

反対側には笠ヶ岳が頭を出していた
最終的に決めた明日の予定
 南岳→槍ヶ岳→双六→新穂高

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