奥黒部周回縦走(三日目)

五色ヶ原から赤牛岳・・シリーズ全7回中5記事目
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この記事は2019年のお盆休みに実行した長期縦走の記録の三日目です。

本日の工程
 五色ヶ原-->赤牛岳  (2019/08/12)
青線が本記事の範囲

 少し嫌々だけれども、朝6時の渡し船に間に合うように行動することにした。朝2:30に起床、幸い雨は降っていなかった。スナックをかじってキャンプを撤収する。
 3:30には出発。濃霧が出ており、ヘッドライトの明かりも乱反射して遠くまで届かない。足元に水滴を多く含んだ高山植物がたくさん見える。
黒部湖に向かいなだらかに傾斜している五色ヶ原を下る。美しいであろう景色がもったいないとも思う。しばらくは下りとは感じられない程なだらかだった。道を間違えないように慎重にマークを確認して歩いてゆく。やがて低木が生えてきて道が狭くなってくると安心した。まだ早朝にもなっていない時間なのに蒸し暑さを感じる。

朝が来る

 午前4時をすぎると、視界の先に見える針ノ木や後立山連峰の稜線の空が赤くなってくる。随分明るくなった頃、テントを貼ったような広い場所を見つけ、軽食をとって少し休憩する。ふと時計を確認すると意外なほど時間が立っていた。少し焦りを感じて、ペースを上げる。コースタイムは二時間だったが、少々オーバーして小屋に到着する。
 小屋の外でのんびりとタバコを吸って人がいた。ここは黒部ダムから歩いてくるコアな釣り客が宿泊されているようだ。小屋番のおばあさんに船の存在と水汲み場を確認し、船着き場へ下る。小屋から数分だった。

船着場

 人が待ったり並んだりすることを想定していないような船着き場はデッキのようなものもなく、ダム湖に向かって崩れ落ちた登山道のようだった。他に人はいなく、ただ船が停まっているだけだった。しばらく待つとダム湖の下流の方からボートが現れる。3人の作業員らしき人が見えた。その船は徐々にこちらに近づき、目の前にある船ではなく、そのボートが渡し船だとわかった。
 船に乗り込み、乗員名簿への記名とライフジャケットの着用を促される。スタッフ3人で乗客は私一人なのでVIP待遇だ。イス(バケツ)も用意してもらえた。
 ダム湖の上流端を渡るだけなので、ものの数分の船の旅。水面を吹く風が心地よかった。意外にも対岸には何人かの登山客が待っていた。”8人か、多いねー。”とスタッフが言っていた。とはいえ、お盆でもこの程度の通行量なのだな。と思った。
 船は到き、速やかに階段を上がるように言われるので、反対側からの人たちとの会話はなし。はしごのように急な階段を登り、ダム湖の対岸に立つ。ギリギリになって降りてきた二人組とすれ違う。

ダム湖の東側に到着し、待っていた人たちを載せる

ここからは黒部ダムの更に上流、上ノ廊下をさらにさらに奥地へと進む。
崖のような急峻な谷の淵を進む樹林帯の道はなかなかアスレチックな道だ。

道行く人は殆どいないと思われたが、終盤に数組とすれ違った。
最後に渓流を渡って奥黒部ヒュッテに到着。河原の小高いところにこじんまりした明るいキャンプ場があり、その奥に奥黒部ヒュッテは建っていた。ここが読売新道の起点だ。

読売新道の起点にひっそりと立つ奥黒部ヒュッテ

小屋は掃除をしている時間だった。水場を教えてもらい、水を2日分汲んで出発する。しばらく水場はお預けだ。
樹林帯の中を徐々に高度を上げながら登っていく、聞いていたとおり、特に特徴は無いが、整備された登りやすい登山道だ。朝一番に高山から降りてきて、また登る。日帰り登山の逆のような工程。徐々に木が低くなって来る。高山植物が見られるようになると、数組とすれ違う。水晶小屋から来る人、テン泊装備の人は三俣や、高天原温泉からやってきているようだ。大した数ではないが、思ったより降りてくる人が多い。予測よりは人に会ったが、お盆にしては比較的静かであることには変わりない。

森林限界を超え、振り返ると黒部湖の眺めが綺麗だ

昼を過ぎ、姿を表していた赤牛岳にガスがかかり始めた。山頂まで行くと視界がなくなる事も危惧されたが、またガスが消える可能性もある。

赤牛岳

山頂に近づき、夕方に差し掛かった所で年配のグループに出会った。ビバークポイントはこの先はないと半ば脅されるように付近のビバークポイントを教えてもらい、そこで夜を明かすことにした。この旅で唯一の孤独で静かな夕日を送り、朝日を迎える夜となった。

静かな夜
写真奥は野口五郎岳

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