赤牛岳から黒部五郎キャンプ場・・シリーズ全7回中6記事目
この記事は2019年のお盆休みに実行した長期縦走の記録の4日目です。
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赤牛岳-->黒部五郎キャンプ場 (2019/08/13)
台風による天気の悪化が見込まれるのは15日から。
少しでも近い雲ノ平に行くか、黒部五郎に行くか悩んでいた。
しかし、黒部川の源流を周回しようとしている以上、黒部五郎に行きたいと思っていたが、行程が長くなるため自信がなかった。歩きながら判断しようと考えていた。
ぐっすり寝れた上に、早く目が覚めた。まだ真っ暗な朝3時、テントのファスナーを開けると満天の星空が広がっていた。黒部五郎まで足を伸ばすことに決めた。
キャンプを撤収して出発は4時。日の出の一時間前で、まだ暗いものの、空の色が変わってくる時間。赤牛岳の輪郭がうっすら見えるが、足元はヘッドランプだよりだ。
星が徐々に薄くなり、空の色が変わってくる。特に太陽が登る東側の変化はドラスティックだ。やがて日の出を迎え、振り返ると立山が大きく聳え、眼下では黒部湖が朝日を浴びて輝きだしていた。山々の間から差し込むいくつもの光のカーテンに照らされる黒部湖はどこか幻想的だった。
岩が重なる道を一歩一歩進み、間も無く赤牛岳の山頂に立つ。
貸し切りの赤牛岳の山頂でのんびりと朝食を作って楽しんだ。
お盆の喧騒のつかの間の静寂を味わう。いつまでもいたかったが、今日の行程も短くない。遠くに見える水晶岳に向けて快適そうな稜線に足を踏みだす。入れ違いに、朝早くに水晶小屋を出た人とすれ違う。稜線は大きな岩を飛ぶように渡っていく箇所が多いが、アップダウンも少なくて晴れている分には快適だ。
眺めの良い快適な稜線を進む。視界の先に雲ノ平、やそれを取り囲む山々、左手には裏銀座の稜線が目の前に連なる。
温泉沢の頭で一服し、高天原温泉から上がってきた人と語らう。ここから水晶岳へはすぐ近くだと思っていたが、思ったより時間がかかった。
水晶岳から先は人が多いことは覚悟していた。人影が多く見える。すでに下界に戻る気分で山頂を目指した。
水晶岳の山頂からの眺望は北アルプスの深部から周りを見回す、本丸のような景観だ。
水晶岳からその先のトレイルを見渡すと、想像していたよりは少ないが、やはりたくさんの人がトレイルを歩いていた。
山頂で記念写真を撮ってもらったりして一息入れる。
山頂から水晶小屋まではあまり距離がない。実はまだ雲ノ平方面にしようかという気持ちもあった。黒部五郎小屋まで行くと予想到着時刻は3時4時の間。テント場が空いていない問題があるからだ。雲ノ平ならば昼には着いてしまう。
水晶小屋についた時に少し悩んだが、しかし、ここで決めなけらばならない。結局、なるようになれと、黒部五郎まで行くことを決断した。程なくあるワリモ分岐でふと思い出し、黒部源流を通る道に切り替える。鷲羽岳に登るのとあまりコースタイムが変わらない為、敢えて選んだ事がなかった道だ。少しでも短縮と思っての選択だった。
お花畑のきれいな道をどんどん下っていく。通る人はあまりいなかった。
水が豊富で頭から水をかぶって体を冷やす。下り切ると黒部源流の碑があった。鷲羽岳と雲ノ平に囲まれた明るい谷間だった。
そこから三俣のキャンプ地に向けて登り返す。気温が上がって暑かった。しかし、程なく稜線に戻った。お昼時の三俣のキャンプ地は既に混雑しているものの、小屋から離れたところであればまだまだ張る場所はありそうだった。
三俣蓮華岳のキャンプ地を尻目に三俣蓮華の巻道に入る。雲ノ平とその周りに水晶鷲羽、薬師岳、といった北アルプスらしい雄大な景色を横目に黒部五郎岳を目指す。三俣蓮華山頂方面行きの分岐を超えると道は大きく下り始めた。
下りの途中ですれ違い、挨拶を交わした人にどうも見覚えが会ったので声をかける、うろ覚えであったが五色ヶ原で見かけた娘だった。逆周りして来て再会するといった面白い偶然に出くわした私達は少々興奮して連絡先を交換して互いの道に戻った。
黒部五郎小舎は樹林帯の中だった。静かで心地よい場所のイメージだったが、やはりそれなりに混んでいた。小屋に近い手前の段はすでにギュウギュウに近かったが、奥にある下の段にいくつかスペースは残っていた。
以前泊まった時はあったはずの水場がテント場には無かった。水は小屋の前に頼りなく出ていた。
静かそうな草地に場所を決め、テントを乾かす。休憩している間に乾いてしまった。その間にもちょこちょこと人が到着する。テントを張って中に寝袋を広げ、お楽しみのビールを目当てに小屋に向かう。
ここはマイナーな部類に入るのか、小屋の前は程よく賑わっていた。ベンチも空いていることだし、場所をとって生ビールを注文した。1000円と高級であるが、どうも北アルプスの缶はどこへ行っても冷えていない。冷えが保証されている生ビールは格別だった。
徐々にテーブルでの会話が盛り上がり、山談義に花が咲く。明日下山を目指す人も多く、連れ合いができたような感じになってきたところで、雨が降る気配によりお開きとなった。
小屋の裏にあるトイレに寄ってからテントに戻ると、ちょうど本降りとなった。雷雨が轟いた。テントの前室でパスタを作って夕食を食べる。
雷雨が止む頃には暗くなっていて、程なく眠りに落ちた。