劔岳・大日岳縦走(一日目)

標高差2200m超、早月尾根からの劔岳、二日目に奥大日岳に行って称名滝に下山する。アルペンルートを使わない立山山域縦走。雨と紅葉と絶景と。・・・シリーズ全2回中1記事目

本日の工程
 馬場島 --> 早月小屋 --> 劔岳 --> 劔沢 -->   (2018/10/07)
ルート図はクリックで拡大

台風が散らかした落ち葉や松に埋められた道路を走りながら私たちは馬場島に着いた。今回は縦走の為、立山駅に一台車を置いてきている。
混雑していた立山駅前と違って、鬱蒼とした馬場島に置いてある車はまばらだった。私たち以外に人もいない。夜が明けてきても明るくなって来ないのは、どんよりとした曇り空のせいだった。徐々に晴れてくる予報に期待して歩き始める。誰もいない馬場島のキャンプ場を横切ると有名な石碑があった。そこが登山口だ。

試練と憧れの石碑の他にも周辺にはいくつかの石碑が建っている。我々登山者をどこか異なる世界へ誘うかのようなこの空間は恐怖すら覚える。

馬場島から登る早月尾根は標高差2264mの北アルプス屈指の長大な尾根だ。
登山口からはしばらく急登の樹林帯を登って行く。

樹林帯に佇む見事な杉

期待していた天気は裏切られ、予想されていた好転よりもむしろ悪化してきていた。いつの間にか霧雨が降りだし、早月小屋に着く頃には、吹き付ける冷たい雨となっていた。

早月小屋

早月小屋では小屋閉め作業を行なっていた。今日が最終営業日のようだった。体が冷えたので少し土間で休ませてもらう。小屋の人と談笑し、この天気では進められないけれど、行くならば気をつけてと念をおしてくれた。
 途中で追い抜いたテント泊の人がやってきてテントを張ろうとしていた。今日は他に誰も来ない可能性を思ってか、どこか寂しそうだった。

早月小屋周辺は紅葉の見頃のようだった

登り出すと、すぐに暑くなってきた。早月小屋はコルになっているせいか、風の通り道になっていて寒かったのだ。森林限界を超えたのか、木々が低くなり眺めが良さそうだ。初めてのルートで悪天は行った気になれず、非常に残念だ。

出会った雷鳥はお腹の毛が白く生え変わっていた

やがて岩陵帯に入る。鎖場や痩せ尾根を滑らないように気をつけながら登る。カニのハサミという難所が有名だが、どこが難所かよくわからなかった。この辺りで下山する数人に出会った。

岩陵帯を登る

そしていつの間にか山頂に到着、マイナーとはいえ、北アルプスの整備された登山道だった。雨の天気であっても十分安全に登れる。むしろ別産尾根の下りの方が気がかりだった。

剣岳山頂

山頂には私たちの他に誰もいなかった。
紅葉シーズンの三連休の週末のお昼だと言うのに、かの劔岳が、である。この後、別山尾根を降りたのだが、ここでも誰にも合わなかった。
時期が遅いのもあるが、天候を危惧して中止する人は多いだろうが、それでも疑問ではあった。

カニのヨコバイを渡る

別山尾根の下りは少し怖かった。ナメているとしか言えないトレランシューズ、ピストンしかしたことがない為、以前は持っていなかった荷物、そして早月尾根を登ってきた疲労の為だろう。
何はともあれ、他に人がいないのは余計な気を使わずに済むので幸いだ。
(トレランシューズで来たのは、靴のテストの目的だったが雨は想定していなかった)

剣山荘に着く頃には晴れ間が出てきた

何はともあれ、無事に岩陵帯を通過。早月小屋と同じく、小屋閉めをしている剣山荘で水を補給しようとしたが、もう止めたと言う、休む間も無く通過しようとすると、晴れ間が出てきた。少し軽食をとって休憩する。とは言え、ここまで来れば劔沢まで後少しだ。

劔沢のキャンプ場

夕焼けの時間は今日の荒天が嘘だったかのように晴れてきた。
雲海に沈む黒部の山々の反対側には、夕焼けに染まる劔岳がその威容を放っていた。

その劔岳を眺めながら、今日の旅を想って床についた。

夕暮れの中、
雷鳥沢方面から登ってくる登山者

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